グアルディオラのサッカー哲学 INTRODUCCION 序章
INTRODUCCION 序章
グアルディオラ監督誕生 [私は決して世界で最も優れた監督ではない]
◇3つのリクエスト
「監督として、就任一年目でこれほどの結果を出すことは、大きな評価に値する。
全ての選手が躍動的で、ボールポゼッション率を高め、サッカーを純粋に楽しんでいる。
私からも最大級の賞賛を贈りたいと思う」
2009年、チャンピオンズリーグ決勝後のファーガソンのコメント
グアルディオラは前監督のライカールトのあとを受け継いだ
・ライカールトは2003年から指揮をとり、リーグ優勝2回、CL優勝1回という功績を残した
→しかし、最後の2年間はタイトルから見放され、クラブを去ることになる
・バルサには新たなリーダーが必要であり、大きな改革が求められていた
→その時、白羽の矢が立ったのが、クラブのシンボルでもあるグアルディオラである
監督就任を受諾する前に、幹部に対して3つの大きな変革を要求した
(1)トレーニングの流れについての大幅な変更
・トレーニング場をそれまでのカンプ・ノウの隣接の施設から、多くのフィールドがある郊外の施設に移す
・そこで午前と午後にトレーニングを行い、途中、選手全員で昼食を取るという提案
(2)選手たちのメディカル面とフィジカル面におけるサービスを充実させること
・ケガ人に対する診断や処置をする環境を万全にして選手を復帰させる事の大切さと、長いシーズン中、多くの 試合をこなす彼らの重要性を説いた
(3)チームのプレースタイル
・プレースタイルを現代サッカーに沿うものに変更し、必ずしも4−3−3に固執するべきではないという事
◇監督就任会見
以下は、2008年6月17日、監督就任の会見でグアルディオラが述べた言葉である
「これから行うトレーニングの成果、取り組む姿勢や努力の結果を信じている。
また、言い訳することができないほどの才能を持った選手たちがいるのだから、結果が出なければ、それは監督である私の責任 以外の何事でもない。決して簡単な道ではなく大きな挑戦だが、それ以上のやりがいがあると信じてる」
「私の挑戦は、自分自身のサッカーに対する考えを選手たちにどう伝えるかに尽きる。
それが出来れば、ファンは我々のやることを誇りに思うようになるはずだ。必ず上手くいくと信じている」
「すべてのプレイスタイルに特徴があり、良いも悪いというものではない。
しかし、私は自分で選んだスタイルで戦うし、それが出来なければ勝つことも出来ないと思っている。
どんな試合であっても勝利を第一に考える。そして、私は攻撃的サッカーの絶対的な信者でもある。
ボールが相手ゴールの近くにあればあるほど、落ち着いていられる。
巷のメディアには『DFしか補強していない』と言われるが、強固なディフェンスがあってこそ、攻撃が生きるはずだ。
逆に言えば、いい攻撃が出来れば、必然的にそれがいいディフェンスにもなる」
「選手たちは試合において全力で走り、勝つための努力を惜しまないだろう。
自分の言葉の強さを信じているが、それだけでは充分でないこともわかっている。
それを見たファンは、必ずチームのことを誇りに思うはずだ。選手たち個々のレベルの高さは言うまでもない。
あとは、全員が限界まで努力出来るかどうかが重要だ」
「先シーズンプレイした選手たちはみな、世界トップレベルの選手たちだ。
しかし、デコ、ロナウジーニョ、そしてエトーは自分の構想にはない。
ロナウジーニョに関しては、彼が以前のようなに献身的にプレイできる選手に戻れるのであれば、このチームでプレイする事も 可能かもしれないが、今の状況はそうではない。チーム全体を強くするためには、自分も大きな決断を下さなければならない」
「選手に求めることは、フィールドですべてを出し切ることだ。
それによって試合結果がどうであっても、私は納得するだろう。しかし、それが出来ない選手を許すことはない」
「メッシは大きな戦力として期待している。
しかし、クラブ全体の責任をひとりの選手に押しつけることは出来ない。
みんなで彼をサポートしなければならないし、ケガをしないように守らなければならない。
チームの一員として居心地よく感じて欲しい。
逆に、チームが失点をした時は、チームの一員として彼にも 同じだけの責任がある」
◇史上最高のシーズン
これらはコメントの一部であるが、説得力のあるフレーズが並んでいる
→「何をどうやって目指すのか」という明確な方向性を示し、新生グアルディオラ体制がスタートした
人々から賞賛されるには、目標やそこにたどり着くまでの道筋を明確にし、最後に結果を出さなければならない
・それを勝ち得るためには、常に勇敢であり続けなければならない
→彼には、まっすぐな信念と選手を導く能力があり、彼のリーダーシップ、決断力、人柄から学ぶ事は多い
「我々が世界で最も優秀なチームかどうかはわからない。
今シーズン、どのチームよりもいい成績を収めたことは確かであるが、世界で一番優れているかは私が判断する事ではない。
そして確実なのは、私は決して世界で最も優れた監督ではないということだ」
2009年、チャンピオンズリーグを制して3冠達成後