CHAPTER3|LIGA ESPANOLA

リーガ・エスパニョーラの傾向*
スペインはヨーロッパの中では国土が広く、地方色が豊かだ
バスクやカタランなど、独立を望んでいる地方もある
気候、風土、習慣も違うので、それがチームカラーの違いにもなっているが、共通するのはテクニックが高く、 パスワークを重視すること  
・これもクラブによってかなり差があるとはいえ、スペインリーグの特徴をひと言で表すなら、パスワーク主体 の攻撃的サッカーということになる

人気、戦力、資金力のいずれの面でもR.マドリードバルセロナの2強が突出している
・そのため、ほかに新興勢力が現れても長くは続かない
  →2強の牙城を崩すのは不可能だから、”育てて売る”という方針で割り切っている中小クラブが多い

戦術的には、2強とその他を分けて考えた方がいいだろう
・R.マドリードバルセロナのプレースタイルは微妙に違う
  →だが、どちらも超がつくほど攻撃的という点では同じである
・2強が激突するスペイン・ダービーなど、いくつかの試合を除けば、ほぼ格下との戦いだ
・ホームゲームの場合は、最初から相手は深く引きこもった守備的な戦法をとってくるケースが多い
  →そのため、2強は攻めっぱなしになる
・国内戦だけを考えれば、あまり守備を考える必要がない
  →いかに攻めて点を取るかが焦点になる

マンチェスターUと世界一のリッチクラブの座を争うR.マドリードは、常に時代のスターを擁してきた
 ただ、これもマンチェスターUと共通していて戦術的にはオーソドックスである
  ・テクニシャンを並べたスターチームではあるが、染みついたウイニング・メンタリティーが大きな特徴
  ・また、MFよりもFW重視の傾向がある
 80年代にはブトラゲーニョとサンチェスが猛威をふるい、現在はファンニステルローイとラウール
  →華麗な攻撃サッカーでありながら、意外と泥臭く勝っている

一方のバルセロナは、R.マドリードに比べると戦術が際立つ
 エレラ、ミケルス、メノッティなど、その時代の名監督を招聘してきた
  ・選手は有名だが監督の影が薄いことも多いR.マドリードよりも、戦術が前面に出る
 現在のプレースタイルが決定したのは、4連覇を果たしたクライフ監督の”ドリームチーム”
  ・これ以降のバルセロナの戦術はオランダ式
  ・3トップを起用してサイドを幅広く使い、グランダーのパスをつなぐ
  ・中盤のパスワークがバルセロナの大きな特徴だ
    →戦術よりも、スターの個人技や勝利への執念が目立つR.マドリードとは、この点でやや違っている



この2強に対抗するために、他のチームは守備重視にならざるを得ない
 だが、上位チーム以外はカウンターアタックに徹するようにはならず、それなりに攻撃的なのがスペイン風
・ショートパスをつなぎながらサイドへ展開する形が多く、セリエAプレミアリーグよりもドリブラーの 活躍する余地がある
・スターはいなくても、機動性の高いパスサッカーで2強に迫る存在は代わる代わる現れていて、
 ラコルーニャ、R.ソシエダ、ヴィーゴが健闘したが、その後に下落した
  →現在はセビージャとビジャレアルがリーグを盛り上げるスパイスになっている
・2強に次ぐ資金力を持つ第3勢力であるバレンシア、A.マドリードも虎視眈々とチャンスをうかがって いるという情勢だ