CHAPTER1|PREMIER LEAGUE チェルシー
(4−3−3) ○11 ○9 ○10 ○7 ○8 ○6 ○2 ○3 ○4 ○5 ○1
メンバー表(07-08)
番号 | 選手名 | |
---|---|---|
1 | チェフ | |
2 | A.コール | |
3 | テリー | |
4 | R.カルバーリョ | |
5 | ペレッチ | |
6 | エッション | |
7 | ランパード | |
8 | バラック | |
9 | マルダ | |
10 | J.コール | |
11 | ドロクバ | |
監督 | モウリーニョ |
DFラインを下げたプレッシングサッカー
- 90年代前半のミラン
- フラットな4バックを押し上げてコンパクトスペースを作り、狭くなったエリアでプレッシングを仕掛けるスタイルを確立
- 以来、「DFラインの押し上げ」と「プレッシング」はセットで語られてきた
- フラットな4バックを押し上げてコンパクトスペースを作り、狭くなったエリアでプレッシングを仕掛けるスタイルを確立
- DFラインの操作
- DFラインを下げ、チーム全体を低い位置でコンパクトにしてプレッシングの強度を保ち、攻撃に移れば後方から長い距離を駆け上がる
- 人数をかけて自陣に人垣を築くベタ引きサッカーとの違いは?
- 組織として秩序を保ったまま、守備エリアをそのまま後方に移したという点
- ボールを奪ってからの攻撃を前線任せにせず、後方からきっちりとフォローすること
- このようなサッカーが実現可能になった背景
- 選手個々のアスリート能力の向上、つまりは運動量の増加にある
- 人数をかけて自陣に人垣を築くベタ引きサッカーとの違いは?
- 戦術的なディーテル
モウリーニョが描いた未来のサッカー
- チェルシーが先鞭をつけた新時代のカウンターサッカーは戦術史の上では大きな意味を持つ
- ただし、一見するとカウンターとセットプレー頼りの単調なスタイルなので、地味な印象は否めない
- 就任2年目
- 現代サッカーは、運動量の増加をベースに発展してきた
- モウリーニョが確立した「DFラインを下げたプレッシングサッカー」も、そのベクトル上にある
- 彼は黒人選手を集めることで、さらにその先を目指した
- (1)攻守のバランスの復元力の強化
- 現代サッカーでは守備組織が整っている相手を崩すのは、容易ではない
- そこでリスクを冒して攻守のバランスを崩して前に出ることも必要
- 黒人選手のアスリート能力があれば、攻めた直後にすぐに自陣へ戻って攻守のバランスを復元出来る
- モウリーニョは、可能な限りリスクを冒さずに攻撃力を高める方法を追求したのである
- 現代サッカーでは守備組織が整っている相手を崩すのは、容易ではない
- (2)組織的に1対1のミスマッチを利用する
- たとえ相手が守備組織を整えている状態でも、高確率で勝利できる1対1のマッチアップがあれば、安定してチャンスを作れる
- 04-05シーズンのCL準々決勝のバイエルン・ミュンヘン戦
- 単純なロングボール1本で何度もドロクバが相手守備陣を崩して勝利した衝撃的な試合があった
先の見え過ぎた人間の悲劇
- モウリーニョの構想は失敗に終わった
- 就任2年目以降のチェルシーは年々、パス回しの意識が薄くなり、ドロクバへ単調なロングボールを放り込むだけの退屈なチームへと変貌していった
- ただし、1対1は強いし、スタミナもあるので相変わらず勝負強い
- 就任2年目以降のチェルシーは年々、パス回しの意識が薄くなり、ドロクバへ単調なロングボールを放り込むだけの退屈なチームへと変貌していった
- だが肝心のサッカーの内容が、まったく中身のないものになってしまった
- 1年目のサッカーには、組織としての洗練と機能美があった
- 2年目以降は、選手の個人能力ばかりが目立ち、組織としての強みは徐々に失われていった
- ドロクバの高さや強さを組織として「利用する」はずが、結果的に「依存する」ことになった
- また、走れる選手の加入は試合終盤の得点の多さなど勝負強さを担保する形にはなったが、パフォーマンスの向上にはつながらなかった
- 06-07シーズンのCL準々決勝のバレンシア戦
- 見るべきものがない凡庸な試合展開のまま終盤を迎え、足が止まった相手にスタミナの差で勝利した
- モウリーニョの崇高なアイディア
- 黒人選手のアスリート能力を組織の中に組み込む新時代のサッカーを生み出す
- 現実には、個人能力頼みで最後はスタミナの差で勝ってしまうという、あまりにも皮肉な形で結実した
- 黒人選手のアスリート能力を組織の中に組み込む新時代のサッカーを生み出す