CHAPTER4|OTHER LEAGUSE バイエルン・ミュンヘン
(4−4−2) ○10 ○11 ○8 ○9 ○6 ○7 ○2 ○3 ○4 ○5 ○1
メンバー表(07-08)
番号 | 選手名 |
---|---|
1 | カーン |
2 | ラーム |
3 | デミチュリス |
4 | ルシオ |
5 | レール |
6 | ゼ・ロベルト |
7 | ファン・ボメル |
8 | リベリ |
9 | アルティントップ |
10 | クローゼ |
11 | トーニ |
監督 | ヒッツフェルト |
◇異端の王者
ドイツ人はサイド攻撃を好む
・理を重んじる国民性から、オーソドックスなアプローチを支持するのかもしれない
・現在でも、下部リーグの攻撃練習といえばサイド攻撃一本槍だとプレーしていた人に聞いたこともある
→ところが、バイエルンは執拗に中央突破を狙っていた
確かにゴールは中央にあるのだが、それ以上にペナルティーエリアの鬼才ミュラーが中央にいたというの が本当の理由だろう
◇マンパワーを生かしたオーソドックスな戦術
ドイツのビッグクラブであるバイエルンだが、ヨーロッパでは健全経営で知られている
決して無理な背伸びはせず収入の範囲内でしか支出はしない
その健全さゆえに、CLのビッグクラブの中でやや遅れをとった感もある
現在は、再びヨーロッパの頂点を目指して巻き返しの最中だ
・07-08シーズンには大型補強も行った
・2トップにトーニ、クローゼを獲得、この大砲2門をを並べ、やはり新加入のリベリや中心選手となったゼ・ ロベルトらが、せっせと弾を供給していく
・ドイツ代表のシュバインシュタイガーやポドルスキがベンチを温めるほどの陣容を整えた
プレースタイルは70年代の異端ではなく、ドイツらしいパワーに溢れたオーソドックスだ
・フォーメーションは、いわゆるボックス型の4-4-2
・持ち前の安定したパスワークでボールを運ぶと、ゴール前に並んだ大砲ふたりにクロスを入れる
ふたりとも空中戦に強く、足下も確かで、信頼できる経験豊富な純粋なストライカーである
→頑健なドイツのDFといえども、このふたりに圧力をかけ続けられたら苦しい
攻撃の中心は左サイド
・MFのリベリの後ろからはSBのラームが上がってくる
このふたりはともに右利きなのだが、左足のクロスはスムーズだ
左右両足を使える選手がふたりいるので、守る側はかなり的が絞りにくいだろう
→その上、ふたりともドリブルで抜く力も持っている
縦に抜けてクロス、カットインしてシュートやクロス、さらにどちらかへ行くと見せかけてもうひとりを 使うこともできる
・しかし、左へ侵入してくるのはこのふたりだけではない
ボランチのゼ・ロベルトも来る
左利きのゼ・ロベルトは、ブラジル代表でLWGを務めたこともある左のスペシャリストである
→リベリ、ラーム、ゼ・ロベルトと役者の揃った左サイドからは、高い確率でチャンスになると考えられる
クロスも硬軟自在
・時にはフワリとしたボールを上げることもある
・ソフトなボールはDFに対応時間を与えてしまうぶん、本来はあまり効果はない
ところが、バイエルンは空中戦に強いFWがゴール前で待ち構えていて、コンタクトプレーも非常に強い
→DFとすれば、なんとかヘディングで跳ね返したとしてもクロスの球速そのものが緩いので大きく弾き返 せず、バイエルンはクリアを拾って二次攻撃を仕掛けることができるのだ
・トーニやクローゼに競りかけられることで、クリアさえ出来ずにペナルティーエリア内でのこぼれ球になるケ ースも出てくる
→バレーボールにおけるブロックの”吸い込み”に似たことが起こりうるのだ
しかし、バイエルンは2トップへのハイクロス一辺倒のチームではない
・伝統の細かいパスワ−クは健在で、最終局面までは丁寧につないでいくことが多い
→アタッキング・サードでのハイクロスの多さは、2トップがそれに合ったタイプのFWだという事だろう
どの時代でもスター選手を揃えていたバイエルンは、個性の生かし方が上手い
・戦術そのものはオーソドックスで新味はないのだが、逆にそれが常勝の理由でもあると思う
→これはイタリアのユベントスやスペインのレアル・マドリードにも通じるビッグクラブの勝ち方といえる かもしれない
すべてのポジションにリーグ最高水準の選手を持ち、バックアップの層も厚い
・基本的に1対1で優位
・奇抜な戦法を用いるよりも、オーソドックスで誰にでも理解しやすい戦術で大枠を定め、あとは個々の選手の 個性で色をつけていく
→それで十分勝てるのだ
・毎年のように大物を加入させることもできる立場である
・あまり細かい戦術を用いてしまうと、新しい選手がフィットしなくなるリスクが大きくなる上、チーム戦術に ぴったり合致した選手しか補強できなくなるから、戦術自体はオーソドックスな方が良い